ディカプリオの虚像と偉大な男『華麗なるギャツビー(2D/字幕)』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
ニック(トビー・マグワイア)が暮らす家の隣に建つ、ぜいを凝らした宮殿のような豪邸。ニックは、そこで毎晩のように盛大なパーティーを開く若き大富豪ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)と言葉を交わす仲になる。どこからやって来たのか、いかにしてばく大な富を得たのか、なぜパーティーを開催し続けるのか、日を追うごとに彼への疑問を大きく膨らませていくニック。やがて、名家の出身ながらも身寄りがないこと、戦争でさまざまな勲章を受けたことなどを明かされるが、ニックはこの話に疑念を持つ。(yahoo映画より)

[感想]
今更僕が、この映画というより、グレードギャツビーについて感想を語る必要があるのだろうか。あのアメリカ文学を代表する超偉大な1冊の本である。映画がどうだとか、語るのは別の人に任せて個人的ギャツビーへの想いをただ書き留めておきたいと思う。
僕があの偉大なアメリカ文学の『ザ・グレード・ギャツビー』と出会ったのは、ちょうど10年前くらいの頃で、僕はまだ高校生だった。当時の僕は、部活動(野球)にいそしむ毎日だったわけだが、家に帰ればでネットサーフィン(今思えば遅い回線だったな)をしたり、友だちと遊びにいったりするごく普通の高校生だったわけだ。それなのになぜか、ちょっとかっこよくお洒落ぶりたかったのか覚えていないが、海外文学に触れる機会が増えるようになる。それまで母親がしきりに読んでいたミステリー小説くらいしか読んだことの無かった僕は、背伸びをして、カフカやらサリンジャーやらを読みふけっていた。そんな中出会った、あの偉大な小説『ザ・グレード・ギャツビー』(僕は、原題『The Great Gatsby』の読み方が好きです)と出会った。小説というより彼に出会ったというほうが適切な言葉回しだろう。キラキラとしたパーティー、超豪華なお城、魅力的なギャツビーの存在と高校生を刺激するには十分過ぎる要素にどっぷりとのめり込んでしまった。
あれから10年ほど経った今でも、この物語と出会ったのは鮮明に覚えており、どこぞの整髪料のCMがギャツビーギャツビー言おうが、僕の中でのギャツビー像が作られてしまっていた。
それと、どこかギャツビーの虚像としての存在に、当時、素直な自分を出せなかった自分自身を重ねて考えてしまっていて、今でもそうだが僕自身ハッタリばっかり言っている。そんな近しい存在ではないが、どこか共感をしていたんだろう。それが僕がギャツビーを好きな一番の理由だと思う。

ギャツビー役をレオナルド・ディカプリオがやると知って、合うの?合わないの?とか色々と考えてみたが、映画を見た感想としては、レオナルド・ディカプリオ以外でも勿論成立するが、彼にとってはこの役をやることは大いなる意味があったんではないかと考えられた。ギャツビーは言えば、過去をやり直す為、『魔法少女まどか☆マギカ』の暁美ほむらや『Steins;Gate』の岡部倫太郎、『バタフライ・エフェクト』のエヴァンのように一途な想いがちょっとおかしな方向にふれちゃったかのようにひたすらデイジーのことを想う。無一文から成金として築き上げた城、ファッション、言葉使いだが、すべては虚像を意としている。その虚像は、あの『タイタニック』によってしか評価されなくなってしまったレオナルド・ディカプリオ自身の境遇に重なって見える。ギャツビーは自ら虚像を作ったが、レオナルド・ディカプリオはマスコミや世間の人によって虚像の存在として、作り上げられてしまったのだ。これほど、ギャツビ−に合ったというか、彼の人生に合った配役はあるだろうか。スコセッシの『シャッターアイランド』、ノーランの『インセプション』と近年の彼の作品は、悲劇な主人公を演じるのが記憶にあたらしい。しかしながら、今年、タランティーノの『ジャンゴ』によって、悪役で一つ上のステップへ俳優として進めたのだろう。そして、彼のキャリアすべてがかかった『華麗なるギャツビー』を終えた彼は、少し休むと休憩宣言している。(もう俳優辞めるとか聞いたけれど、本人曰く、少し休みたかっただけらしい)

そんな彼の状況と、僕のギャツビーへの想いを照らし合わせていくと、僕にとって、これはどう考えても傑作間違い無しな作品なのだ。ニックがギャツビーを初めて桟橋でギャツビーと認識したとき僕はぽろっと涙を流してしまった。それから、デイジーと再会するシーン、デイジーがシャツに埋もれるシーン、そしてラストとエンドロール含め号泣してしまっていた。(隣にいた人はどん引きしていたに違いない)
これほどまでに、客観的に観れなかった映画も珍しい。3D版もあるようなので、時間があれば観にいこうと思っている。とりあえず、僕にとっては間違いなく傑作映画でありました。

グレート・ギャツビー

グレート・ギャツビー