ヒッチコックよりもエロく…『イノセント・ガーデン』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
外の世界を遮断するように建てられた、大きな屋敷に暮らしている少女インディア・ストーカー(ミア・ワシコウスカ)。自身の誕生日に、愛していた父親が交通事故で帰らぬ人となってしまう。彼女は、母(ニコール・キッドマン)と葬儀に参列すると、そこへ行方がわからなくなっていた叔父のチャーリー(マシュー・グード)が突如として姿を現わす。彼と屋敷で暮らすことになるが、それを発端にしてインディアの周囲で不可解な現象が頻発するようになる。(yahoo映画)

[感想]
オールド・ボーイ』『渇き』等で知られるパク・チャヌク監督の最新作。『イノセント・ガーデン』イノセント=純真・無垢、ガーデン=庭(心理的には心か?)、主人公が18歳の誕生日を迎えたという件から、主人公インディアがイノセント・ガーデンから抜け出すストーリー(覚醒する)ということがわかってきます。ただ、終わった後、本当に無垢だったのは誰かと聞かれると、ニコールキッドマンが演じる母親だったんじゃないかとも思えてくる…

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意味的にはそんなストーリーですが、この映画はヒッチコックの『疑惑の影』を下敷きにしている。ある日現れた叔父が実は未亡人連続殺人事件の容疑者だった!という『疑惑の影』そのままのストーリーになっており、それ以外にも名前がモロにオマージュなのと、叔父と娘が同じ名前を持つってことから、今作『イノセント・ガーデン』でいう”後継者”チャーリーとの血のつながりのようなものが感じられます。

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第一級サスペンス映画監督のヒッチコック・オマージュ映画であるが、根本的にこの監督は感性がヒッチコックとは違うようで、切り取ったような構図を少し嫌みったらしく随所に鏤めている。オナニー映画と言ったらそこまでだし、この手の描写表現は好き嫌いが別れそう。それともう白いキャンパスに塗りたくられたようなパク監督のフェティシズムが丸わかりなように、エロ目線が凄い。女優ミア・ワシコウスカの陰鬱そうだけど、何か秘めているものを持ってそうな美女をエロったらしく撮りまくる。スカートのめくれ方とか、唇の撮り方、脚・足の撮り方など…その変態さもストーリーに絡んでくるのだから見事だなと思う。

それとインディアから抜け出す・覚醒させるストーリーとしての演出もなかなか考えていて、地下室にアイスをもっていくってのもわざとらしいので不要と思うかもしれないが、インディアの内面・心理に深くはまってる。召使いのおばさんが冷凍庫のなかで死んでいるのもインディアのサイコとしての才能のあらわれなのではないだろうか。また、冒頭の台詞でインディアが「私は耳が〜」鋭いだかどうたら言っているシーンから、音の演出(インディアと同じ体験が出来る)から、インディアの内面が掘り下げられる。

そして自分と同じ感性を持っている叔父を自分の手で殺すことで、完璧なサイコが生まれる。しかし、自分で自分自身を殺しようなことだから、叔父とは別の存在になっているのかもしれないな。(ラストの警官殺しを観るに単なるサイコだが)

なんとなく通過儀礼って言葉がよぎるけど、最後までミア・ワシコウスカに魅了された映画だった気がする。(すげーかわいかった)