見つけ出せ自分のアイデンティティー!『アイアンマン3』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
スーパーヒーローで編成された部隊アベンジャーズの一員として戦い、地球と人類を滅亡の危機から救ったアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)。だが、アメリカ政府はスーパーヒーローが国の防衛を担うことを危険視するようになり、それを契機に彼はアイアンマンの新型スーツを開発することに没頭していく。そんな中、正体不明の敵によってスターク邸が破壊され、これまでのアイアンマンが全て爆破されてしまう。何もかも失ったスタークだが、人並み外れた頭脳を武器に孤独な戦いに挑む。(yahoo映画より)

[感想]
アベンジャーズ』以来一年ぶりにアイアンマンが登場する劇場第三弾かつ、シリーズものとしては一応ラストの『アイアンマン3』。シリーズ三部作ものは結構多く、アメコミヒーローものだと記憶に新しいのはサム・ライミの『スパイダーマン』シリーズやクリストファー・ノーランの『バットマン』シリーズなどがあります。大体どの三部作も、一作目でヒーロー誕生、二作目でヒーローの苦悩、三作目で「さようなら○○」と言ったような構成になっています。今回の『アイアンマン』シリーズも同様に、一作目で「アイアンマン」の誕生を描いています。ヒーローもので面白いのは、やっぱり「正体がばれる」という展開だと思いますが、『アイアンマン』シリーズでは、一作目のラストで「私がアイアンマンだ。」とトニースタークが告白してしまいます。そこで二作目では、正体がバレてからヒーローはどのように戦うのかというところに焦点が置かれていました。トニースタークの性格ともあっててとても好きな展開でした。

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そして、今回のシリーズ第三弾は、「トニースタークがスーツを脱ぐまで」のストーリーで、上手いこと演出が組み込まれていました。『アベンジャーズ』以降、トニースタークは、「アイアンマン」の無力さを痛感してしまい、”パニック障害”、”不眠症”と自身のトラウマと戦う日々となってしまいます。また、スーツは42まで作っており、明らかなスーツ依存症。スーツの依存に自らのアイデンティティーが危ぶまれていくのです。
また、前2作との違いは、敵が生身の人間(怪人?)で人型を保っているということで、スーツ依存からの脱却とも重なり、トニースターク自身生身で戦うシーンが多く導入されていました。特にマンダリン邸に侵入するところなんかは、近年の「生身だけど強い系アクション映画」っぽい。
特にmk42が試作中であったこと、ボロボロになって充電が上手くいっていないところもこういったトニースターク自身の戦い、「アイデンティティーの確保」につながっている演出となっており、シリーズラストを飾るにはいいテーマになっているなと感じました。
とくにラストでは、アイアンマン(スーツ)は繭だったと語っており、トニースターク自身、自らの成長を実感しているようです。あと、ヒーローものということで、ポッツは救われる(ポッツに救われた)んですが、キリアンを倒してアイアンマンたちを爆発させて花火にするシーンがあります。ここで使われる技術が、ブライアンデパルマの得意とする360°旋回!しかも、斜め下から二人と背景に花火を映し出す手法は、あの『ミッドナイトクロス』っぽい演出、ジョントラボルタは最愛の人を救えなかったけど、ここはヒーロー映画ともあり、救済している(!)。そういう意味では、『愛のメモリー』に近いのかもしれない。

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非常に面白かったですが、ちょっとストーリーが雑だった気もしないでもありません。それと敵による絶望感が前作よりも遥かに下回っていました。ちょっと残念な部分はありますが、僕自身のヒーロー観的には、『バットマン』『スパイダーマン』よりも『アイアンマン』のほうが重要な作品ではないかなと思いました。