『コズモポリス』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
28歳という若さで巨万の富を手に入れたニューヨークの投資家のエリック・パッカー(ロバート・パティンソン)。白いリムジンの中で金を動かし、天国と地獄が隣り合わせで一瞬先は闇という投資の世界に生きながら、一方ではセックスの快楽に夢中になっていた。しかし、エリックの背後に暗殺者の影が忍び寄る。さらに、自分自身わかっていながらも、破滅の道へと歩みを進めるエリックは……(yahoo映画より)

[感想]
それまで均衡が保たれていた世界で、徐々にバランスが崩れていく様を描いたクローネバーグの最新作『コズモポリス』。
アメリカの作家”ドン・デリーロ”の原作を使いタイトルもそのままです。
主となるストーリーは、主人公エリックは大富豪ですが、投資家である彼は元のチャートを追えなくなり、数百億の損失を負ってしまうというストーリーです。
※原作では元が円でした。今の情勢考えて元に変えてるのでしょう。

僕は元手が無いのもありますが、投資関係はいっさいした事がありません。そればかりかギャンブル運もないのでギャンプル周りもやりません。
そんな自分からするとリスクのある投資は怖いですし、相当勉強しきゃ儲からないだろうと思います。
まず頭に、失敗したらどうしようと考えますのでろくに投資なんて出来ない訳ですね。しかしながら、エリックは28歳で大富豪になっていることを考えるに、失敗したらどうしようなんて考えてオドオドしないんだと思います。それどころか彼は、失敗したらどうしようとオドオドする訳でもなく、数百億損失を負うにも関わらず、「君とセックスがしたいんだ」とセックスのことばかり考えています。
どういう状況かわかりませんが、自分の妻とはセックスができなく、やらしてくれやらしてくれと嘘や言い訳でいいくるめようとしますが失敗します。
金持ちとはセックスのことばかり考えているんだなーとアホなことばかり想像してしまいました。

この彼のマイペースさは、揺るがないものですが徐々に彼の周りの世界の均衡が崩れていきます。
均衡が崩れていくという様を左右非対称というものを次々と登場させ案じさせていく手法がとられており、片目がつぶされたSP・前立腺が左右非対称・二人乗っていたSPを一人殺す・片方の髪にだけつけたままのパイ・片方しか切られない髪…などなど物語の中盤〜後半にかけてまで非常に多くの左右非対称な演出がされています。
他にもリムジンのなかは世界と違った時間が流れていましたが、リムジンの外はざわざわと騒がしくデモが起こるような世界でした。
※思い返すとかなり序盤のエレベーターの話が出てきたときにも、降りる速度が違う・流れる音楽が違うとの発言もあり、一見左右対称のエレベーターでも非対称を暗示させるような手法がとられています。

ラストになると彼を殺そうとしている元従業員のもとにいき、殺されそうになりますが、最後はどうなんでしょうね。
原作でも同じ終わり方だったと思います。(読んだのが数年前なので覚えていませんが…)
左右非対称が続くとすれば、非対称同士の片方が死ねば左右非対称となるという考えや、二人いることで均衡が保たれるという考え方もあるだろうし、ラストはどちらでもいいかなと思います。

予告を観たときにクローネンバーグっぽくない映画かと思ってたけど、案外クローネンバーグ映画だった気がします。
ただ、序盤が退屈過ぎるし中盤から徐々に見続けられる展開ですが、個人的には眠くなってしまいました。
(あの退屈な時間ってのはエリックの時間を共有しているという意味かなんて意味わからない考察をしてしまいます)

評価点:41点