『劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
突然、祖母の経営する温泉旅館「喜翆荘」で住み込みで働くこととなった東京生まれの女子高生、松前緒花。最初は戸惑ったものの、今では自分の変化にも気付き始めていた。そんなある日、喜翆荘に女将修行にやってきたライバル旅館の娘で同じクラスの和倉結名の面倒を、緒花が見ることに。そして物置を掃除していた緒花はあるものを発見し……。(yahoo映画より)

[感想]
2011年にTVシリーズが好調だった、青春群像劇『花咲くいろは』の劇場版。
ストーリーはTVシリーズと同様に「喜翆荘」で仲居として働く女子高生緒花を中心に、そこで働く同僚やその家族を巻き込む青春群像劇スタイルです。

僕はTVシリーズはリアルタイムで観ていて毎週欠かさず観ていたくらい好きだったんですが、正直全然期待していませんでした。
しかしながら、会社の徒歩数分に公開している映画館があって、毎日ファンらしき人たちが通っている姿を見ていたらいてもたってもいられなくレイトショーに足が向かっていきました。

期待してなくて観たってのもありますが、これが思いのほか傑作。
66分というTVスペシャルレベルの短い上映時間のなか、主要キャラクター全員のエピソードにほぼスポットライトを当てながら、きっちりとわだかまり無くおさめてきました。
緒花のキャラにもスポットを当てながらにして、うまいこと他のキャラと対になるように練られている。

例えば、菜子の子育てエピソード(菜子は両親が忙しいので弟・妹を女子高生であるが仲居の仕事しながら面倒を見てる)は、緒花と母親とのエピソードの対になっています。
どちらも親に期待しながら、裏切られるトラウマを抱えており菜子の兄妹たちも同様の気持ちをもっていた。
また、緒花のエピソードは、導入部で展開される緒花の母親のエピソードと対になっています。
細かいところで言えば、巴さんと蓮さんは良い年しながら結婚出来ていないし、トラウマというかもうひがみ…になっていたり。
結名の天性の機転利きは、民子のどこか悩んでてもなかなか出口が見えない感じが対になっているんじゃないでしょうか。

この奇跡的な劇場版の完成度は、スタッフの愛の賜物であり、ぼんぼりたいという気持ちが愛情が伝わってきます。
「輝きたい」といっても自分じゃ必死こいててわからないと思うし、他人からは輝いているのがわかる。
今、自分で気づかなくても後で振り返ってみると「あのとき、俺は青かったけど輝いていた」なんて思うんじゃないだろうか。
短い上映時間ながら、ふと何か大切なものに気づかされる心温まる映画だった。

評価点:82点