『ジャンゴ 繋がれざる者』を観ました。※ネタバレあり

[あらすじ]
1858年、アメリカ南部。奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)の手によって自由の身となる。やがて2人は協力し、次々とお尋ね者たちを取り押さえることに成功する。その後、奴隷市場で離れ離れとなってしまった妻を捜す目的のあったジャンゴは、農園の領主カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のところに妻がいることを突き止め……。(yahoo映画より)

[感想]
「ジャンゴ〜♪」タイトルからして『続・荒野の用心棒』(原題:『Django』)であるが、引きずっているのは棺桶ではなく黒人の奴隷だ。棺桶のずるずるとした動きや音が、黒人奴隷の足枷のジャラジャラとした鈍い動きや音に変換される。
サンプリング映画を世にだして、約20年だろうか、タランティーノフェティシズムはつきる事無く、『DJANGO』とタイトルをうったもののDJANG役は黒人なのだ!しかも、ストーリーそのものは『マンディンゴ』から引用しているらしい。(私は未見です)
更にうわ!っと思わされたのが、ジャンゴと共に旅をするDr.キング・シュルツは、前作『イングロリアス・バスターズ』でナチの将校役を演じたクリストフ・ヴァルツなのだ!「ユダヤ・ハンター」として名を馳せた最低の人殺しが人種差別せず白人犯罪者を殺しまくるのは、なんと言う皮肉だろうか。
それもこの映画は、イメージ的には『続・荒野の用心棒』、ストーリーは『マンディンゴ』だが、大枠は、人種差別に殺し合いときたら『イングロリアス・バスターズ』みたいな話だ。
いつも通り音楽にも酔いしれてしまうが、この時代にあるまじきヒップホップを使用したりと遊び心も忘れない。
これだけ(もっとたくさんの引用があるようです)のサンプリングをしておいても嫌みに感じず、映画オタク向けかと言えば、全然そうでもなく、娯楽映画として成り立っている。
こういったバランス感覚のある映画監督ってのも、今では中々いないかもしれない。
まさにタランティーノの技が光る一級の娯楽映画だった。

評価点:71点