『ブラック・ブレッド』を観ました。※ネタバレあり

スペイン内戦後の人々の行方

[あらすじ]
 1940年代のカタルーニャ。11歳の少年アンドレウ(フランセスク・コロメール)は、森の奥深くで息絶える幼なじみとその父を目の当たりにする。そのとき、幼なじみが森の洞窟(どうくつ)に潜むとされる羽を持った怪物ピトルリウアの名を口にしたのを耳にする。やがて、警察は事件を殺人と断定し、アンドレウの父ファリオル(ロジェール・カサマジョール)を第一容疑者として挙げる。ファリオルが姿を消し、母親も働かねばならないことから、アンドレウは祖母の家に引き取られることに。そんなある日、森の中で怪物ピトルリウアのように全裸で走り回る青年と遭遇するが……。(yahoo映画より)

[感想]
 スペイン本国で大絶賛され、ゴヤ賞総なめしたスペイン内戦後の1940年代を描いたミステリー(?)映画。まず初めに、この映画を観る前に気をつけてほしいのは、キャッチコピーの「ダーク・ミステリー」を期待して観に行かないこと。後、スペイン内戦+小さな子供が主人公と聞くと、『パンズ・ラビリンス』のようなダーク・ファンタジー映画を思い浮かべるけど、そうでもない。内容は極めて単純で、スペイン内戦後にて敗れた左派の人々の日常の苦しみを描いた映画です。

主役の子供があんまりかわいらしくなく、覗き見の趣味があるから、ミステリーなんて謳っているんですね。しかも、その覗き見の趣味に意味があればいいんだけど、人のSEXを堪能したり、屋根裏部屋に隠れている主人公の親父を見つけたりと、特に意味がありません。人のSEXをニヤニヤして見ている割に、自分のことになると、チキン野郎になるんです。まあ、冒頭部は結構、ハラハラする事件があるんですが、誰が犯人なんかは、なんとなくわかってしまうしね。でも、子供の心ってのはすぐに移り変わったりするもので、人にあいつが敵だなんて言われれば、その人の言うことを信じてしまうし、いや、実はこんなことがって言われればとコロコロ移り変わります。
でも、それ以上に、家族関係ってのは重要で、遠く離ればなれになっても、心のもやのように幻想的に人の心に残っていくようなものです。

評価点:41点

[作品概要]
作品名 :『ブラック・ブレッド』
監督  :アグスティ・ビリャロンガ
製作年 :2010年
製作国 :スペイン/フランス
上映時間:113分

[関連作品]
パンズ・ラビリンス』(’08):スペイン内戦を取り扱ったダーク・ファンタジー。僕は気がコロコロ変わるんですが、マイベスト級に好きな映画であります。