『ロルナの祈り』 ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ 2008年 105分 ※ネタバレ有り

情が移った?贖罪?愛の物語?なんじゃそれ

[あらすじ]
 アルバニア人のロルナ(アルタ・ドブロシ)は国籍を得るためにベルギーを訪れ、クローディ(ジェレミー・レニエ)という麻薬中毒の男と偽装結婚する。ロルナは彼を犠牲にしてでもパスポートを手に入れようとし、クローディは彼女を希望の光に再生を図る。そんなロルナは当初クローディを拒み続けるが、次第に彼を受け入れるようになり……。(yahoo映画より)

[感想]
 ダルデンヌ兄弟の08年の作品。恋人とお店をオープンすることを願い、偽装結婚を行いせっせせっせとお金を貯めている女が、偽装結婚相手の麻薬中毒男に情が移り、計画全てをぶち壊す馬鹿女を描いた話です。ちなみに愛の物語らしいです。
主演は、馬鹿女役に、アルタ・ドブロシ、麻薬中毒男役に、『ある子供』(05年)、『少年と自転車』(11年)とダルデンヌ兄弟映画常連のジェレミー・レニエです。ジェレニー・レニエは毎回思うけど、世の中でも必要とされていないような、くそったれ男を演じますね。今回の麻薬中毒男についても見事でした。ほほのやつれ具合や麻薬中毒者禁断症状をよく演じていたと思います。馬鹿女役のアルタ・ドブロシにしろ、馬鹿女を巧く演じていました。役者はこれと言って文句がないし、映画としてもダルデンヌ兄弟とあって何となくいい雰囲気に作られているもんです。
まあ、役者はどうあれ、主人公ロルナに感情移入ができなかったというか、馬鹿すぎる女にいらだちしか感じる事ができず、のれない映画でした。100歩譲って、麻薬中毒者がかわいそうだとか、自分はこんなことをしていいのだろうかと悩むシーンがあるのはいいとします。しかし、その割に明らかに邪険そうに扱ったりしたり、抱かれたり、やっていることに統一感がなく、この女は只の馬鹿じゃないだろうかと疑問を感じずにはいられませんでした。
 それと死んでからの行動はなんでしょうか?空想妊娠して、頭がおかしくなった女がドライバーをぶちのめして逃げ隠れる、只の犯罪者です。本当に、贖罪だとか購いを考えているんであれば、もう二度とあのような悲劇が起きないように、行動起こすとかすればいいと思うんです。でも、頭がおかしくなってしまって責任ある行動をする事が出来なくなった。それもそれで悲劇なんですけど、全てこの馬鹿女の自己責任であり、殺人未遂なんだから警察に出頭するべきだと思います。それが購いってもんじゃないだろうか?
それと、情が移っただけで、愛の物語でもなんでもありません。説得力のない雰囲気で終わった映画です。

評価点:41点