『コーマン帝国』アレックス・ステイプルトン 2011年 91分

映画への愛を感じました。

[あらすじ]
 「インディペンデント映画の神」と称される映画監督・製作者のロジャー・コーマン。超低予算の作品を連発する一方、コーマン監督の作品からハリウッドへと飛び立っていった俳優や監督は枚挙にいとまがない。コーマン監督の作品やインタビュー、関係者や親交のある大物たちのコメントから、インディペンデント映画の魅力にまでも迫っていく。

[感想]
 低予算、早撮りで知られる巨匠ロジャー・コーマンを題材としたドキュメンタリー映画。コーマンを知らなくても、豪華俳優・監督陣が出演しているってことで、キャッチーな作品に出来上がっている。
 僕自身、時代性もあるだろうけど、ロジャー・コーマンの監督作・プロデュース作品を意識してみたことはありません。500本くらい撮っているだろうから、どれかしら観た事あるよなーなんてネットで作品検索してたら、『ピラニア』で製作やってるんですね。あと、数本は観たことがあると思います、記憶にないけど。
 さてさて、本作は監督・製作としてのロジャー・コーマンの映画人生をスコセッシ、タランティーノ、ロバートデニーロ、ジャックニコルソンなど豪華陣営がコーマンとの思い出だったり、コーマンこんな奴だよ!って語ってる映画です。安いB級映画作ったり、時には、社会派映画作ったり、いろんな映画が撮れる人なんですね。でも、基本的に低予算、早撮りです。当時はいわゆるグラインドハウスでの上映とか若者が密接に映画に関わっていた時代だし、早撮りで新作をポンポン出して、観客を掴んでいたんだろうと思います。
印象深いシーンとしては、ジャックニコルソンが泣くとことか良かったですねー。最悪のもあるんだぜ!観たいな台詞言ってるのに泣くんかい!!とか思ったりしたけど、ロジャー・コーマンがどれだけ愛されているかってのがわかるシーンでした。後は、スコセッシの巨匠っぷり!自分だけ、巨匠っぽく撮られすぎじゃね?って思ったけど、淀川長治さんっぽいの雰囲気出してましたねー、嫌いじゃないわ〜。

 この映画で、一番いい台詞だと思ったのは、「低予算になれば、映画が薄くなるだけさ。本質は変わらない」(台詞間違ってるかも)です。確かに、いくら安上がりだろうと伝えたいことは、金がかかろうと、かからなかろうと、表現の違いで変わらないんですね。ロジャー・コーマンの映画への愛を感じとれる台詞だったと思います。特集で夜のコーマン映画祭やってるので、時間合えばみにいこうかなー。
 名古屋ではシネマテークのみの上映ですが、映画ファンなら観るべき映画だし、ロジャー・コーマンの作品に触れてみるいい機会かも知れません。

評価点:71点