『孤島の王』を観ました。(ネタバレ有り)

『孤島の王』 マリウス・ホルスト 2010年

人は誰でも、王になれる?いえ、ディカプリオになれます。

[あらすじ]
 1915年、罪を犯した元船乗りの少年エーリング(ベンヤミン・ヘールスター)が、ノルウェー本土からバストイ島に送り込まれてくる。外界から隔絶されたその島には、11歳から18歳までの非行少年を更生させる施設があり、少年たちは過酷な重労働を課せられていた。かなり高圧的な院長(ステラン・スカルスガルド)や寮長(クリストッフェル・ヨーネル)への反発と脱走を繰り返すエーリングの姿は、抑圧された少年たちの心を突き動かしていく。

[感想]
 1900年初頭のノルウェーバストイ島の監獄(少年院?)の実話をもとにした作品。とても面白い作品でした。日本では公開場所が少なく、GWで東京に戻ったついでに有楽町のヒューマントラストシネマにて鑑賞。朝一の回にも関わらず、朝からたくさんの人が並んでました。
 ノルウェーを舞台にした映画という事で、なかなか珍しくみさせてもらいました。ノルウェーと言えば、フィヨルドなど綺麗な自然などが思い浮かびますが、一方で”ブラックメタル”など凶悪なカルト集団によって殺人事件までに発展した音楽が発祥した地であったりと、色々な面がありますね。
 
 さて『孤島の王』ですが、ノルウェーのバストイ島の少年院のようなところに、船乗りの少年が収容されて・・・っていう話です。監獄では、性的虐待があったり、国の金を自分の懐に不正に入れてしまったりと、まあ良く有りそうな事件が起こります。結局監獄されれば逃げるってのが、お約束な訳ですが、この映画は、そのお約束からは全くはみ出そうとはしません。意外性がなく、よく使われるネタですが、演出、演技ともに素晴らしく、観客を飽きさせません。特に、主人公エーリングを演じたベンヤミン・ヘールスターが良かったですね。やっぱり監獄に入ると、初めはいびられるものですが、一発ぶん殴って自分の地位を高めます。監獄の中でも強く生きていくんですね〜。
只この映画、僕が納得いかなかった事が一つあります。多分、このお話は実話をもとにしているので、忠実に作っていると思いますが、監獄にいる人たちって武装してなくていいの?って事です。
この監獄は、少年院ぽい感じがするので、そこはゆるいのかなと思いましたが、この作品の良くも悪くもあるのが、子供達がどのような犯罪をしたのかが全く描かれていないって事でしょう。恐らく、エーリングは、院長のかみさんがあれだけビビっているのを観ると、殺人事件級でも起こしたんじゃないかなとわかりますね。しかし、他の子の犯罪がわかりません。(名前忘れたけど、エーリングと一番仲が良い子はわかりましたけどね)
そんな犯罪者連中がウヨウヨしているなか、全く武装しないで秩序を守っていたと思うと、ぞっとしますね。今まで何も起きなかった方が、おかしいと感じてしまいました。
 正直上で列挙したことが、いまいち乗れないと感じてしまった点で、実話だからリアルだと思うけど、リアルをあんまり感じませんでした。でも、とても良く出来た作品だし、観ておいて損はない映画だと思います。

評価点:68点