音がぶつかり共鳴するーーZAY『CRY FOR THE MOON』(2017)

昨年の夏頃だったろうか、そのときGREENMACHiNのツアー真っ最中のとき、三重県VOLTEX来ると知った僕は会場に駆けつけて当日もサイコーな気分でライヴを見ていた。見るまではなんでグリマシがトリではないのだろうか?とか考えていたのだけど、トリで出演したZAYの1曲目「WIND OF HATRED」を聴いたとき、そんな考えがぶっ飛んだ。何だこのバンドはっ!?こんなにかっこいいバンドを知らなかったのか??と、戦闘力が高すぎてスカウターが爆発したかのような衝撃。帰りがけに早速デモを買って、1曲目にやっていた『WIND OF HATRED』を何度も何度も繰り返し聞いていた。とにかくZAYとの出会いは衝撃的だったのである。

さて、そんなZAY待望の1stアルバム『CRY FOR THE MOON』が発売された。大きなくくりとしてはメタルクラストと紹介されることが多いZAYであるが、改めて出来上がった本作を聴いてみるとZAYをジャンル分けすることに果たして意味があるのだろうかと。確かにメタルクラストはもちろんのこと、ポストメタル/エクスペリメンタルメタルのような静と動のスケールの広い展開、ザクザクと刻むド直球のヘヴィメタルよろしくなリフもある。エッジの効いたギターが楽曲をけん引して大変気持ちいい。トリプルボーカルスタイルで楽器だけでなく音を幾重にも重ねていき、圧倒的な共鳴が生まれる。この共鳴こそZAYの持ち味じゃないだろうか。

メンバーのSNS活動を見ているとハードコアだけならず幅広い音楽を聴いているようであり、個々の培ってきた音楽性が混ざり合った結果を証明するアルバムなのがわかる。ものすごく個人的な見解としては、初めてXなどを聴いた感触と似ていた。実際にギターのhiroshi氏はLUNA SEAが好きらしい(SNSを見ている限り)し、プレイスタイルもかっこいいのだ。また、ZAYのセットは青い光や白煙などで幻想的な空間を作り出す。そういったヴィジュアル的イメージからも感じることなのかもしれない。

特に好きなのは初めてZAYと出会った『WIND OF HATERED』。デモ版に比べるとイントロのギターリフがその後の爆発的な展開に向けて少しテンポを落とし、タメを作っている。とにかく攻めに攻め荒々しさをそのままぶつけてきたデモよりも、ソリッドなギターやドカドカと爆進するドラムが目立つことでよりライヴ感を感じられていいアレンジだと思った。

なかなか本作を文字に起こすことができずに数か月温めてきたのだが、温めてきたわりに何も言っていない文章が出来上がってしまった。ただ、ZAYとの出会いは本当に衝撃的であったし、1stアルバムも素晴らしい。つたない文章でも「素晴らしかった」と表明したかった。そんな思いにさせてくれるバンドです。

CRY FOR THE MOON

CRY FOR THE MOON