アニメと共に成長する歌姫/水樹奈々『Exterminate』を聴いた。

水樹奈々33枚目のシングル『Exterminate』が発売された。タイトルソングの『Exterminate』は人気TVアニメシリーズ『シンフォギア』の三期『戦姫絶唱シンフォギアGX』のオープニング・ソングになっている。『シンフォギア』シリーズでは、劇中歌(キャラソン)について、水樹奈々の作曲に携わっているElements Garden(通称:エレガ)が担当しており、今回の『Exterminate』関してもElements Garden上松範康)が作曲している。

2012年に始まった『シンフォギア』シリーズ。水樹奈々はこの『シンフォギア』に携わったことによって、彼女の音楽ジャンルに新たな定番を作った。それまでの彼女の激しい曲のイメージとしては、人気TVアニメシリーズ『リリカルなのは』のイメージが強く、彼女自身が語っているが、「激しくて泣ける曲」という言葉が的確だった。*1しかし、シンフォギア・シリーズでは、泣けるといった感情よりも、「ガソリン満タン全力全開!ぶっ放せ!」と、それまでの奈々ソンのなかでも、さらに「激しさ」を推し進めたような曲に仕上がっている。

シンフォギア』のオープニング・ソング『Sychrogazer』初めて聴いたときは、こんな曲を歌える人がいるのか!とビックリした。そして、二期の『Vitalization』に関しては、光速BPM・超ハイトーン・ダブステップと、「人類の壁を越えてしまった…。これは解き放たれた水樹奈々だ」とひっくり返るくらいの衝撃を受けた。まさに、バケモノ・ソング。シリーズを増すごとに激しくなる現象、これは『シンフォギア』シリーズと彼女の成長が連動していると言っていいかもしれない。
シンフォギア』では、無茶苦茶ながらもある程度の体制を保っていたアニメだったと思う。『シンフォギアG』は個人的には悪い部分が伸びてしまったと思っているのだが、とにかく、やりたい放題。力技で乗り切るように見えた。そして勿論、曲もシリーズを増すごとにパワーアップしていく。
思い出してみれば、2011年の東京ドーム公演で初めてLIVEで披露された『Sychrogazer』では、水樹奈々も曲にあまり慣れていなかったのか、結構大変そうに歌っている。しかし、次の夏ツアー千秋楽の千葉マリンスタジアムでは宙を舞って歌いながらも抜群の安定感。しかも、全力の笑顔で歌っていたのだ。そして、昨年の横浜スタジアムで世界に数台しかないセットを扱い、自由自在に空を飛びながら『Vitalization』を絶唱していたことは記憶に新しい。あのときも、抜群の安定感だったし、「みんなの側にいきたいから」といった理由で実践したのは恐れ入る。最近では、そんな無茶(笑)が、「おてんばが過ぎる」と言われているらしいが…。


さて、前段が長くなりましたが『Exterminate』について。
このタイトルどんな意味かと調べてみると、

動詞:(…を)根絶(絶滅)する。皆殺しにする。
語源:ラテン語「追放する」の意

これを読んでいると、一般的に言えば明るくてかっこいいアニソンのイメージからはかけ離れたタイトルに見える。ただ、これが『シンフォギア』のオープニング・ソングであれば話は別である。今日現在『シンフォギアGX』を見ていると、「シンフォギア」に対抗した錬金術を扱う新たな敵が出ていることから、シンフォギアシステムが「追放」されるような意にも取れるし、「根絶(絶滅)」や「皆殺し」といった単語も、シンフォギアの世界観を表現しているように見える。一見するとトンデモないタイトルに見えるが、『シンフォギア』を考えると、世界観とマッチしているように感じられる。

曲調に関して、確かに激しいのだが、『Vitalization』の「攻撃こそが最大の防御なり」といった攻め曲になっているかというと、少し違う。さすがにシリーズ三作目といったこともあり、激しいながらも、どこか落ち着いた貫禄を感じさせるような曲になっている。過去二作と比べると、シンセがさらに分厚く重ねられたように聞こえるし、確かに貫禄は感じるが、決して派手さは損なわれていない。また、過去二作と同じように「人」を守っていきたいをテーマとした歌詞になっている。これも『シンフォギア』のテーマだ。あとは、今までと違う点でいえば、ライヴで観客がコールしやすそうに作られており、次回のライヴからはファンたちのコールが見られるだろう。今まで以上に、観客を意識した曲になっていると感じる。

水樹奈々は今年で35歳となり、一般的に言えば、落ち着いた曲を歌うような年代に入っていると思うのだが、落ち着くことなく、どこまでも飛翔していく。『Exterminate』の話から脱線するが、ここ数年のインタービューでは、今後は「明るくて泣ける曲も作りたいね」とキングレコード三嶋章夫と語っていた。必要とされるのは『SUPER GENERATION』の系譜だと思うが、あれ級の曲はなかなか難しいだろう。『僕らの未来』あたりが少し近づいたように感じたが、もう少しといったところだった。(無論好きな曲ですが)僕の水樹奈々ベストは永遠に『SUPER GENERATION』だと思うので、今後もトライしていってもらいたい。

そして、明日 7月24日(金)は、ミュージックステーションに出演することが決定している。

来週「Mステ」にキュウソ、マッチ、Muse、水樹奈々、リトグリら - 音楽ナタリー

今までの活躍からもいつでてもおかしくないと思っていたが、まさか『Exterminate』で出演するとは…。当日は、僕の好きな英国のロックバンド MUSEも参加予定なので非常に楽しみである。さてさて、水樹奈々はどこまで成長するのだろうか。夏ツアー中であるが、次の冬ライヴの発表も楽しみだし、今後も活躍していってほしい。

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◼『Exterminate』トラックリスト
 01.Exterminate
 02.ブランブル
 03.It’s Only Brave

Exterminate

Exterminate

*1:通称「なのは系」と言われる