2014年上期をさらっと振り返ってみた。〜音源編〜

14上期のまとめ音源編です。まあ、30枚くらいしか聴いていないのでベストではなく、良かったな〜と思う新譜から何作か。


■『Death』Teitanblood

Death

Death

ブラッケンド・デスメタルバンドの2nd。今年のエクストリーム系の音源ではベストと言っても過言ではないと思う。CDをセットして数秒で暗黒世界に引きづり落とされ、攻めまくる暗黒ブラストビートに、絶叫系グロウルボイス。まさに暗黒の儀式!世の中はここまでドス黒いのかと絶望しながら、ドゥーミーなパートでさらに畳み掛ける。ブラックメタル的な雰囲気もありますので、デス・ブラック系のメタラーさんにはオススメ。大変素晴らしいです。


■『distant satellites』ANATHEMA

Distant Satellites

Distant Satellites

ポスト/プログレッシブ・ロックバンドの10th。数年前から初期のゴシックは脱ぎ捨てて、完全にポスト・プログレッシブ・ロックへ方向転換を果たしたANATHEMA。2012年に発表された、『weather systems』は個人的オールタイムベスト級の作品でした。バンドとしても、あの傑作の後なので、相当プレッシャーがかかったと思うが、あくまでも作品のスタイルは変えず、同じ路線で真っ向から勝負した傑作でした。アルバムの前半は、エモーショナルなボーカルが導入され、うっかり涙するようなメロディに包まれる。後半は前衛的な楽曲で身を纏い、最後までうっとりとANATHEMAの世界に浸ってしまった。前作のプレッシャーにも屈しなかった傑作。


■『Melana Chasmata』Triptykon

Celtic FrostのTom Gabriel Warriorのデス/ドゥーム/ゴシック・メタルバンドの2nd。安定のTriptykonと言ったところか、キャッチーなメロディで#1を牽引するが、そこからはひたすらウルトラヘヴィネスサウンド。気がついたら暗黒世界にのみ込まれ、意識が朦朧としながら夜があけることなんてしばしば。とにかくライブで見てみたいバンドである。ちなみに、ジャケットの絵は本年亡くなったギーガー氏のもの。ご冥福をお祈りします。

■『The Quantum Enigma』EPICA

クォンタム・エニグマ

クォンタム・エニグマ

シンフォニックメタルバンドEPICAの6th。男女混合ボーカルで、グロウルと(男)透き通るような美しい歌声が素晴らしい(女)。シンフォニックメタルと言うと、メタルの暴虐性とシンフォニックなアプローチの比率が重要だが、非常にバランスがとれていると感じた。シンフォニックなアプローチから、パワーメタル的なイントロリフに歌メロを重視した歌唱法。最後まで飽きることなく、素晴らしい作品だと思いました。


■『The Satanist』Behemoth

ポーランドのベテラン・ブラック/ブラッケンド・デスメタルバンドの10th。もう、既にというか、ブラックメタルからは離れた音を出していたが、今作はサウンド的にもブラックメタルに回帰した作品となった。サウンド面も然ることながら、今作はネルガルのボーカルが素晴らしい。ファストパートからミディアムパートまで、地獄からの使者(実際に白血病から生還したのだが)のような凄まじいグロウル。昨年のラウドパークもかっこ良かったですが、小さい箱で見たいですね。ブラックメタル史を振り返りたくなるような傑作でした。


■『Terrestrials』Sunn O)))&ULVER

Terrestrials

Terrestrials

ドローン×エクスペリメンタル・バンドのコラボ作品。最初は、スプリットでも出すんか?と思っていたのですが、よくよくみると「&」表記なんですね。基本はアンビエントで後ろでホーンが鳴ったり低音でブオオオオオオオオーーーーンと進む。息も詰まるような退廃的サウンドで、まるで森の中で亡霊を追いかけているような雰囲気に浸れる。どちらか一方でもいいので来日してほしいですね。


■『証×明-SHOMEI-』喜多村英梨

声優で活躍する、喜多村英梨の2nd。前作は、シンフォニック・メタル/V系ロック直系のサウンドと、アイドルを盛り込み、非常にバランスが悪かった。しかし、今作は作品全体を通じて統一感がある。元セックスマシンガンズのJOEだったり、有名なアーティストがサポートで入っていますが、今回のテーマである「和メタル」と疾走感溢れるアニソン的歌メロ重視の楽曲。そして、センチメンタルな雰囲気のミディアムテンポの曲がバランスよく入っており、声優から脱皮してアーティストとしての階段を登っているなと感じた。また、アルバム以外にもシングル「掌」を出していて、こちらもトゥルー・ブラック・キタエリ・メタルとなっており、これまたかっちょええのだ。LIVEみたいですねー。


あまり聴き込めていないので、書きませんでしたが、後は、Vampilliaの(やっと)出た1stとか良かったですね。それと、Hammercultメロデス/パワーメタル/スラッシュのクロスオーバーサウンドで面白かった。Vaderは安定してかっこ良かったし、Misery Indexグラインドコア感は落ちましたが、デスメタルとして誠実な作りをしていた。グラインドコア系だと、OEFで来日したリップルバスターズも良かったし、セルコンのデモもクソかっこ良かった。ちょっと残念だったのはJig-aiの新譜かな〜。悪くなかったけど、グチャグチャ度の減退。ただ、グラインドとしてはしっかりしてたかな。面白みが少なかったという意味での残念。ウォーブラックのDiocletianの新譜は、まるで自分が戦争を指揮しているマエストロになった気分に浸れる傑作だったし、聴いた音源は大体満足でしたかね。まだまだ、聴き込めていないアルバムもあるので後は年間ベスト時にということで。