「エヴァの告白」でノレなかった人へ『アンダーカヴァー』

最近、引っ越しの準備や友人の結婚式やらで新作映画を観れていないのですが、先月はエントリーした映画の他に、『ラッシュ/プライドと友情』やアンゲロプロスの遺作となった『エレニの帰郷』(号泣した)なんかを観ました。

そんな中、ジェームズ・グレイの『エヴァの告白』も面白そうだなーって観たのですが、ちょっとノレなかったんですよ。まあ、ただノレないだけじゃTwitterで呟いてればいいかなーと思ってたのですが、後半30分に差し掛かってから奇跡のようなショットが目白押しで「それまでの前半なんやったんだ!」ひっくり返されちゃったんですね。そして、ラストに鏡を使ったスプリットスクリーンまで披露して、まじでたまげたんですよ。なんでこんなに後半凄いショットだらけなのに、何故前半ノレなかったのかなーと悩みつつTSUTAYAでDVD探してたら、同監督で同じくホアキンフェニックスが主演の『アンダーカヴァー』が置いてあり、「他の作品観てないしな」と、このタイミングで鑑賞しました。

名門警察一家に生まれながら、家族に背を向け、マフィアが経営する人気クラブのマネージャーとして生きる弟ボビー(ホアキン・フェニックス)。父(ロバート・デュヴァル)の後を継ぎ、エリートコースを歩む警察官の兄ジョセフ(マーク・ウォールバーグ)は、そんな弟に対し、マフィアを裏切って潜入捜査に協力するよう持ちかけるが……(yahoo映画より)

いやあ、こりゃもう言葉にならないくらいの傑作だったのですよ…思わず、ジェームズ・グレイに「すみません!!」って画面に向かって頭を下げたくらい。

ストーリー的には、家出した末っ子のホアキンが家族を思いながらもなかなか家族に戻れずに、マフィアのクラブで働いちゃっている男を熱演しているのですが、本当に彼は上手いですね。『ザ・マスター』はむき出しって感じでしたけど、この映画では抑えつつ、出すところは出すって感じで。旧作だけど、あまりに凄くてネタバレしたくないので軽くに抑えますが、物語中盤、家族がらみで自分の居場所を見失いつつあったホアキンが家族の為に、考えを改めて生き方を変えるってのがとても男泣きできるのですよ。

特に、むちゃくちゃ凄いシーンが、豪雨でのカーチェイスシーン。音響効果(ワイパーの音かな?)で緊張感を煽り、トラックがぐるっとこちらへ向かってきたり、ホアキンの顔を交互に映したりして観ているときは「うわ〜〜すんげーーーー!」とビビリまくってました。最近観た映画だと、『ラッシュ/プライドと友情』の豪雨もヤバかったけど、この映画の豪雨もものすごいですね。

もうとにかく、ホアキンフェニックスの演技に翻弄されているうちに終わってしまうんですが、この映画をみて『エヴァの告白』を思い出したとき、「なぜ、ホアキン視点で映画を観れなかったのか?」と後悔しました。普段、キャラクターに感情移入出来るか?出来ないか?は、一本の映画を観る上でさほど重要でないと考えているのですが、『エヴァの告白』はタイトル通り、エヴァがどんな苦悩をしてどんな告白をするのか?というのが主題だと思っていたので、マリオンコティヤールばかりに気を取られていて、「あれ?なんか弱くない?」って思ってたら、全然ノレなかったのです。後で気づけば、単に上質なメロドラマとして観れていれば良かったんですけど、エヴァ=マリオンコティヤールの存在にかすめられていたというか、単に観る力が僕になかったんじゃないかなー?って。それで、『アンダーカヴァー』を観た後は、「ああ、単純にホアキンフェニックス視点から観れば良かった」と思い直しました。

エヴァの告白』については、円盤化したらもう一回観直してみようと思います。
単に話が好きじゃないのかもしれないので、評価が変わるか微妙ですが、新たな発見があるかもしれないし。

という事で、『エヴァの告白』でノレ無かった人も『アンダーカヴァー』はマジで面白いのできっとノレるはず。オススメです。
今度同監督の『トゥー・ラヴァーズ』あたりも観てみようと思います。

アンダーカヴァー [DVD]

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